秘密結社ゼディス

ゲーム「The Elder Scrolls V : Skyrim」の世界を土台にして創作した、
独自設定の創作小話を連載しています。
多量のMod導入環境が舞台のため、
ロアフレンドリーではないことをご承知の上で御覧ください。

※只今移設作業中

Episode12-狼も歩けば骨に当たる 03

12-3-1


家が、燃えている。

もうとっくに日が落ちて暗くなっているのに、ブルーマの街には緊迫した空気が漂っていた。
そして、焦げ臭い匂いが満ちていた。

だが、その家の両脇には屋根近くまで雪が積み上げてある。他の家屋に燃え移らないようにするための処置だ。
火事ではない。これは、意図的に燃やされているのだ。

薪を集めてきた街の人々が、燃える家の脇にそれを放り投げる。
そしてそのまま、ローブ姿の者達の元に集まる。
彼らは一様に怯えきった顔をしながら尋ねていた。

「あれで足りますでしょうか?」
「我々は大丈夫でしょうね?」
「感染はあの家だけなのですよね?」


そして、口を揃えてこう言うのだ。

「どうか、吸血鬼から我々をお守りください」

ローブの彼らは、ステンダールの番人だ。
吸血鬼が街に住んでいる。その数を増やそうとしている。
そう主張する番人たちはその住処を『特定』すると、その家に火をつけられるように領主に許可を取ってきたのだ。
ロクに中も確認しないまま、家ごと焼き滅ぼすために指示を出す番人達。

「薪をくべたらすぐに離れろ! 燃やせるモノがなくなったら早く避難するのだ! 奴らに近寄らなければ感染はしない!」

鬼気迫る表情で、ただそう繰り返すだけ。その迫力に街の皆は怯えきっていた。
恐怖に駆られながらも燃える家から目を離せない市民達の後ろ。

「早く、こっちへ!」

声を落とし、人目を避けるようにしながら通り過ぎる2つの影。

「ハァ、ハァ…… ま、待ってよ姉さん」

「急がないと。見つかるわけにはいかないでしょ」

アスターは自分の姉、ユリアに手を引かれて、街から逃げ出すところだった。
燃えているのは自分の家だ。
そう、吸血鬼だと疑われたのは、他でもない… 自分の家族。





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Episode-EX-ゼディス生存戦略会議

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セリン「もうひとつ、大規模な拠点が必要なんだ」

フィアがいつものようにウェズに会うためにゼディスの要塞にやってきて、彼女と最近のあれやこれやを話し合っている最中。
来訪者の顔を見にきたこの要塞の主は空いている椅子に座ると唐突にそんな話を始めた。

フィア「大規模な、拠点……?」

セリン「ああ。ここはまだスカイリムの執政者達や帝国、そしてサルモールには知られていない場所だが、いずれどこかの勢力に察知されれば侵略の対象になりえる立地ではある。今はなにしろそれぞれの勢力の斥候が各地でうろちょろしている状態だから、そのうち誰かに目をつけられる危険性がないとは言い切れない。ここがバレて危機にさらされるような緊急事態に陥った時、我々全員が避難できるだけのキャパシティを持った拠点は今のところ存在しない。であれば、内戦が激化する前に用意したほうがいいだろう」

ウェズ「ほへー」

ウェズの相槌はとてもテキトーだった。毎度のことながらポテチをつまんで聞き流しているだけで頭には入ってない。
内容からしても彼女には全く興味がないような話ではある。基本引きこもりだから食っちゃ寝していられる場所から移る気などないのだろう。

セリン「……やばい時は強引に連れていかなきゃいけない奴が居るんだった、そういえば」

ウェズ「ぅぇー、ゃだー……あたしもう冒険とか創作物の中だけでいいんだけど……好きな人がやればいいでしょ、ね」

前のテーブルに突っ伏して、力ない拒絶の言葉を漏らす。

ウェズ「引っ越しするとかさ、すっごい面倒だよ? 積ん読してる本とかまだかなりあるしー、試してない呪文書とかもあるしー。あとあと……持っていきたいモノをリストアップするだけでも1ヶ月かかる自信がある」

多すぎる。

フィア「うーん、緊急事態になったら、って話だからねえ……」

ウェズ「捨てるとかありえない……」

イメージしただけで絶望の表情を浮かべている。





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Episode12-狼も歩けば骨に当たる 02

普通、死霊術師は目立つ街道を使わない。それが夜でもだ。

あまり友好的な印象を与えてくれないドクロのローブを着ていたりすることもそうだが、アンデッドをぞろぞろ引き連れた者が普通に街道を利用しているのを快く思わない者は多い。
衛兵は行動範囲が決まっているから避ければいいだけだが、たまに自分勝手な正義感から怪しいと思った相手を執拗に付け回すステンダールの番人が徘徊していることもある。
番人はデイドラも吸血鬼も死霊術師もお構いなしに攻撃してくるのだ。

それに、死体の使役はデイドラの召喚と違って跡が残るから、急に引っ込めるということができない。見つかればすぐに死霊術師だとバレてしまう。
図体がでかい個体はそれだけ力が強い場合が多く、戦闘になれば頼もしい。
……しかし、臭いのキツいアンデッドに隠密性など求めるのは間違っている。彼らが頼りになるのは、あくまでも『敵対しかねない相手の命を奪ってもいい場合だけ』だ。
相手が死ななかったら、当然衛兵に話が行く。術者が見つかっていたら手配書に載ってしまう。
それだけではない。仮に術者を見られていなくとも、死体から割り出せる魔術師も居るには居る。つまり、身代わりとして置いていくのが物証になってしまいかねない。
……まあ、治安の乱れているこの地でそこまでやる余裕はないだろうが、夜だからって死霊術師が好き放題できるのかというと、全くそんなことはないのだ。


21-2-1


そんな夜の街道を、アスターは一人で歩いていた。
ローブは一般的な魔術師のものに着替えている。ただの旅の魔術師に見えれば番人達の目は誤魔化せるということを、彼は知っている。
通常の魔術師と違うのは、背中に大きめのバックパックがあることだ。





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